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保険会社の中の人が保険不要論に物申す

保険の話
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「保険は不要である」

ブロガーなどのインフルエンサーにこういう意見を言う人が多いように思えます。

保険と言っても生命保険や自動車保険や火災保険やら多岐に渡りますが、槍玉に上げられるのは掛け捨て型の保険でしょうか。

「人はムダ金を払うのが嫌い」だからでしょう。

先日、資産形成してる人がびっくりするようなツイートしてるのを見かけました。

???「保険金もらったことないから払い損でした!!保険は入らない方がいい!!」

ずっこけましたw

その人はたまたま健康で病気にならなかったから保険金もらえなかっただけです。それを当たり前のように言ってるのが理解できませんでした。

(注:病気にならなかったら祝金とかでお金もらえる保険もあります。)

例えば「医療保険」というのは自分が病気にならず健康であれば使いません。

大体掛け捨ての商品が多いですから、もし病気にならなければお金を捨てているのと同じことかもしれません。

だからインフルエンサーはこう言います。

「保険に払うお金は無駄だ!!」と。

当然ながら家計を圧迫するコストを除外できたら嬉しいです。

空前の投資ブームですから、そのお金を投資に回せば当然お金を増やせるかもしれません。インフルエンサーはそう言う切り口で投資を促します。

ただ、それは同時にリスクに対する備えを怠っているとも言えます。

高額療養費制度を使えばいいじゃん。俺知ってるよ?貯金しとけばいいんでしょ?」とかわかったようなことを言っている人も目につきましたが、この制度が適用されない費用があります。

このことまで書いているブロガーはあまり見かけません。書いててもサラッと書いてるだけです。

インフルエンサーは耳障りのいい言葉でアクセス数を稼ぐのが仕事ですから、保険不要論を叫ぶブロガーやyoutuberが多数派を占めるのも仕方のない話でしょう。

投資のアフィに誘導すれば儲かりますからねw

保険に入るか不要とするかは最終的には自己判断です。

ただインフルエンサーの言うことを信じて「保険は不要だ!」と言ってる人は本当に保険が不要かどうか、私のブログを見て真面目に考えてみて欲しいと思います。

ちなみに私はとある保険会社の中の人(総合職)です。

インフルエンサーは基本的に契約者側ですので、保険会社側の視点で保険について書きたいと思います。

私は当然保険は必要だと思っていますし、所得に不安がある人ほど入るべきだと思っています。

保険は商品である

大前提として「保険は商品」です。

保険の話をするとどうも胡散臭く思われるようで、それはおそらく保険を「損をするか得をするかギャンブル性のあるもの」と考えている人がいるからではないかと思います。

そもそも保険とは何なのでしょうか。

わかりやすく考えていただくために例を挙げましょう。

例えば洗濯機を買う時に

「洗濯機は便利だけどお金もったいない!家電会社を儲けさせることになるから買わない!

手で洗う!!!

という人はほとんどいないでしょう笑

便利だから、つまり、買うことで「メリットがある」から買うのです。

それでは保険が売っているのはなんでしょうか?

保険は「安心」を売ります。

「不便」なことにはそれに対応した商品があるように、「不安」があるところにもまた商品があります。

「不安」の元は「リスク」です。

つまり

「保険とは、保険会社がリスクを負担し、安心を売る商品」

です。

なので、

「自分でリスクを負担・許容できる人」

は保険に入る必要がないと思います。お金持ちとかね。

※貯蓄型とかありますけどそれはまた別のお話。

保険は保険会社が儲けるための商品?

いろんなブログやツイートを見ると「保険会社が儲けるための商品だ!!!」ってよく書いてます。

保険会社は慈善団体ではありませんので、ある意味では事実でありますが、誤解があります。

保険会社も事業リスクを背負っているのです。

まず保険会社の利益はどう稼ぐか知っていただく必要があります。

保険会社を知る上で重要な言葉が「三利源」です。

「三利源」とは、「費差」「危険差(死差)」「利差」の三つを指します。

費差

事業コストのことです。わかりやすいのが人件費ですね。

保険を「作る」には金融庁所管の元に行われているため、審査もあり簡単な話ではありません。金融商品は審査がとても厳しいです。半沢直樹でも金融庁嫌われてたでしょうw

保険を作ればそれに合わせた手続きや書類も必要で、システム改修も必要になります。また、広告費や窓口への教育など多岐に及びます。

お支払いいただく保険料には当然ながらそのコストも含まれていますが、事業費が想定より高くなれば当然保険会社の損失となります。

危険差

病気になったり亡くなる人の数値は統計上予測し、保険金として支払う金額を想定します。興味ある人はアクチュアリーとか目指すといいかも。

しかし、コロナのようなパンデミックや天災地変が発生した場合、保険会社としては想定しない大幅な保険金の支払いが発生する可能性があります。保険会社としては大損害となります。

損保会社は東日本大震災の時に大打撃を受けました。

www.nikkei.com

利差

保険会社はいただいた保険料を運用しています。日本の生保マネーは兆円単位の莫大な金額で、世界でも動向が注目されるレベルです。

保険の中でも貯蓄型保険と言うのがあります。学資保険がわかりやすいかと思います。子供が大学に入る時まで積み立てていただければ、利息をつけてお預かりしたお金をお支払いすると言う保険です。

それが株安や金利低下等により、当初見込んでいた利回りを達成できないとなれば、保険会社としては当然その利回りとの差分を損することになります。

www.nikkei.com

例えば南海トラフ地震が発生したらかなりの損害を被ると思います。(再保険という保険会社の保険があるので興味ある人は調べてね)

会社としても厳しいですけど、中で働く人たちも超激務になります。嫌だ!(私情)

保険会社もリスクを背負って事業を行っていますので、当然ある程度備えた上で経営しています。その点はご理解いただきたいと思います。

保険に入ると損をする?

前述したとおり「保険は安心を買う商品」ですので、金銭面だけで損得を言われてしまうと困るのですが、「運が悪いと得をする」と言えると思います。

「払った額より保険金を多く貰えたら得をする」わけですから、早い段階でたくさん病気したり亡くなったら儲かります。幸せなのか不幸なのかわかりませんねw

保険会社としてはそんな危ない人に保険入られたら大損します(逆選択といいます)。これは他の契約者の方への支払いができなくなることにも繋がります。預かったお金を不当に流出させてしまうわけですからね。

したがって、明らかに不審であったり持病を持ってる人、病気がちの人はお断り(謝絶といいます)したり条件をつけたり、病気の人でも入れる保険をお勧めします。

月々の保険料がやたら安い保険ありますよね。

あれは保証する内容が少ない他にも、謝絶の基準が厳しかったりします。健康な人しか入れない保険が安くなる道理はわかりますよね。保険会社が払うリスクが少ないんですね。

少し話が逸れましたが、保険に入ることで損をするか得をするかはわかりません。

その点は投資に近いものがあります。

しかし保険は投資ではありません。将来の不明なリスクやコストに対して備えるものです。

投資が武器であれば保険は防具です。

この点はしっかり押さえておいてください。

高額療養費制度ちゃんと理解してる?

ブロガーがよく使うこの高額療養費制度というワード。実に素晴らしいシステムです。

非常に高額な医療費も一定額を超えると払い戻しが受け取れるのです。

このおかげで多くの人が救われたと言っても過言ではないです。

www.kyoukaikenpo.or.jp

ただし、この制度は万能ではありません。

対象外となる費用があります。これが意外と馬鹿になりません。

基本的にはこの制度の対象は「保険適用の医療費」です。

そのため、入院時の食事代、交通費、差額ベッド代、保険適用外の医療費は高額療養費の対象となりません。

個人的には差額ベッド代はマストで払いたい費用です。個室じゃないと寝られないので。

具体的にどれくらいかかるかは人にはよりますが、窓口で相談したり医者に聞いてみたらいいんじゃないでしょうか。

細かいですが、高額医療費は月ごとの集計なので、例えばトータルで20万円かかっても、月をまたいで10万円ずつかかると自己負担額は高くなったりします。

病気は都合よく来てくれません。

貯金してたら大丈夫?

保険不要論ブログでよく書いてるのは

「国民の生涯の平均的な医療費が○○円だから▲▲円貯金して備えておけば大丈夫!!」

ってやつですね。

これに関しては言いたいことたくさんありますので箇条書きにしておきます。

  • 平均年齢も伸びてるし、今の保障制度が永続的かどうかなんてわからない。
  • 病気になった時所得なくなる or 減るの忘れてない?
  • 貯金が減り続けるストレスに耐えられる?
  • 医療費が高額になったらどうするの?

医療費だけに絞っていろんなコスト書く人いるんですけど、病気になってる間のこととか、治った後も色々とコストや時間がかかることって意外と見逃されてるんですよね。

若いうちに医療保険入っておけば年間5万円くらいでそこそこの保険に入れます。

それを運用に回せば・・・ということは正論かもしれませんが、病気になると体もメンタルも弱ります。

そんな中で金銭的な不安も感じるくらいなら加入しておけば治療に専念できるのではないでしょうか。

保険に入れないリスクもあるよ

SNS利用してる人は若い人が多いので、病気になったことない人も多いと思います。

30代だとまだまだ病気になった(=保険を使った)人は少ないと思います。

が、40代、50代となるにつれて病気になる人は増えていきます。

「今は健康だし必要になったら考えるよ」

って人は注意してください。

今の医療や薬は非常に優れているため、病気は治る確率が上がってますし、入院も短期化しています。

が、一方で、同じ年代の中でも病気になった人が増えてくる頃、自然と医療保険に興味が湧いてくると思います。

自分がその時に病気になったことがなければいいです。

健康な人は歳取ってても保険に入れます。(保険の種類・会社によって異なります。年齢制限はあります)

しかし現在進行形で病気になってたり、治療中の方は審査が厳しいです。

引受基準緩和型といって病気でも入れる保険はありますが、保険料が高いです。

保険に入れないリスクもあると言うことも知っておいてください。

なお、健康なら問題なしであることが多いです。

私がやたらと筋トレを進めるのはそのせいです(断言)。

筋トレせぇよ!!!

保険に入る金銭的メリット

保険料控除というのがあります。

www.nta.go.jp

計算方法とか詳しくは長くなるので割愛しますのでリンク先から読んでみてください。

いわゆる保険に入る分一定の控除を受けられるので税金安くなるよってことです。

そもそも国が医療・介護・年金の保障をカバーできるのならこんなシステムなんて要らないんですが、現実的には無理ですよね?

だから「足りない分は自助努力でカバーしてね。税金安くするから。」ってことです。

実際に軽減される額は年収によるので計算してみてくださいね。定年までで結構な額になります。

終わりに

このブログで「保険に入れ!!」という気は毛頭ありません。

ただ、私は「保険は不要じゃないよ」ということが言いたいのです。

景気が良くなると悪い部分は見えにくくなり、リスクに対しての認識が甘くなります。

株も相場が良くなると信用取引も増え、リスク管理は甘くなります。

今回のコロナの一件で改めて日本の医療環境の素晴らしさについて再認識する結果となりました。

とはいえ今の日本の手厚い社会保障はこのまま続くとは限りません高齢者の医療費負担も上がってしまいました。

www.nikkei.com

「保険は損をするもの」という理解しかしてない人も多くて驚くことがありますが、損をしない保険もあります。

今はマイナス金利の影響で旨味は少ないですが、保険は資産運用にも活用できます。

昔の貯蓄型保険は相当美味しい保険でした。今でも定期預金より全然利回りいいんですよ?

保険は商品なので時代やニーズに合わせて変化します。

洗濯機が進化するように、保険商品も時代に合わせて変わります。変わってます。

本当に不要かどうか自分で考えてみて判断して欲しい。そう思います。

ちなみに、自分で勉強するならFP(ファイナンシャルプランナー)はすごくいい資格だと思います。

私はFP2級持ってますが、保険の他にも税金とか運用の話もあり、生きていく上で大事な金銭面での知識が満遍なく身に付くいい資格です。独学で十分取れるので勉強してみてはどうでしょうか。

とはいえ保険は膨大な種類がありますので、専門家に相談するのが一番早いです。

話聞くのはタダですしお近くの保険窓口へ一度相談してみてはどうでしょう。

この記事が参考になったら下のリンクからお買い物してくれたら嬉しいです。

(ちょっとお小遣いが入ってやる気が出ます)

おしまい。

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