どんな理由を付けようが買い煽り・売り煽りに正義も悪もなく、結局承認欲求・金儲け以外の何物でもないのですが、自分も投資家()なので法令も交えて自分の考え方を書いておきます。
1 煽りとは何か
買い煽りを論じる前にそもそも「煽り」とはなんでしょうか。
この議論は尽きないのですが、定義を明確化されていないので話が平行線になって結論が出ないのです。
(ツイッターは言いたいこという場所で議論をする場所ではないですが)
「煽り」の定義としては
「発信者が意図を持って他人の行動を促すこと」です。
株クラスタで言われる「買い煽り」については
「発信者が相場を動かす意図を持って情報発信する行為」
を買い煽りと定義できると思います。
株を上げたいならいい情報を流しますし、下げたいなら悪い情報を流します。
そもそも相場以外にもかなりの市場規模を持った煽り業界が存在します。
それは「広告業界」です。
外を歩いてみてください。大量の広告、CM、サイネージ。。。
広告主の意向に従い、広告会社は全力で煽ります。
株で言えば証券会社は金融商品を売買させるため全力で煽ります。
煽りの否定はビジネスの否定です。
そのため単純に「煽ってはいけない」と言う法律は存在しません。
こんなもん存在したら広告業界もそうだし、インフルエンサーなどの広告モデルは存在しません。
煽る行為がそもそも不正であること(虚偽表示・誇大広告・風説の流布など)や、違法行為を煽ることが犯罪です。
よって、「煽りの内容」によって是非が決まります。
2 買い煽りの是非とは
株の売買を規制する法律は金融商品取引法です。
金融商品取引法には「不公正取引規定」(157条〜)が存在します。
・不正行為規定・風説・相場操縦規定
・相場操縦
簡単に言えば、以下の行為が禁止行為です。
- 有価証券の募集、売買等のため、もしくは相場の変動を図る目的をもって、風説(うわさ、合理的な根拠のない風評等)を流布(不特定又は多数の者に伝達)すること
- 市場において相場を人為的に変動させるにもかかわらず、その相場があたかも自然の需給によって形成されたものであるかのように他人を誤解させるなどによって自己の利益を図ろうとすること
- 何人も、他人を有価証券の売買に誘引する目的をもって、有価証券の売買が活発に行われていると誤解させ、あるいは、株価を人為的に変動させるような一連の売買等をすること
- インサイダー情報で取引すること(内部者取引)
参考:証券取引等監視委員会
ここだけを見ると、
「(インサイダー情報や虚偽情報でなければ)個別銘柄を分析し記事を掲載すること」
自体は何の問題もなさそうに見えます。(安心)
ネットで言われる買い煽りについては赤字のところが議論になるものと思います。
板操作は当然アウトですが、一番気になることは、
「影響力を持つ人間によるネットでの推奨情報に基づき株価が変動することの是非」
です。
とりあえず過去の罰則事例を見てみましたが、「板操作」や「インサイダー」ばかりで罰された形跡がありません。
と言うことで仮説を考えてみました。
3 アウトな買い煽り仮説
自分の仮説としては
「本人が不正により得た情報により行った行為(インサイダーなど)については裁けるが、他人を売買させた結果相場が動いた場合については裁かれないのではないか。」
です。
ネットに慣れ親しんだ人は
「ネットの利用による相場変動であることは明確だ!!!」
と言う主張ですが、投資(金融商品取引)には自己責任原則が存在します。
「有価証券等の取引で損失を被ったとしても、投資家が自ら判断してその取引を行った限りは、その損失を自ら負担する」という原則です。
つまり
「発信者の情報が虚偽などでない限りは買った人間の責任(判断)であり、その結果相場が変動したとしても購入者自らの判断で購入した結果相場が変動したのみで、発信者による行為に依存しない。」
と言うのが自分の見解です。
この考え方であれば、証券会社のレーティングや投資顧問のビジネスが肯定されるものと考えます。
つまり、見せ板などの価格操作を除けば、「情報の真偽・正当性」のみが金商法違反の対象になるのではないでしょうか。
4 終わりに
違反への見解はあくまで仮説で、結局何が悪いかは「裁く人間がどう判断するか」次第です。
人から批判される行為はやらないかこっそりしておくのが無難でしょう。
おしまい
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